DEC VT100 端末

みんなターミナルエミュレータは使っているだろうか。TeraTermとかPuTTYとかx3270とかなんでもいいけど、ああいう類いのソフトウェアはターミナルエミュレータと云う。

エミュレータというからにはエミュレート元があり、例えばTeraTermはDEC VT100かその後継機種、x3270であればIBM 3270端末が元である。(TeraTermにはTekウィンドウがついていてTektronix 4010/4014端末のエミュレートもできるが。)

TeraTermの端末の設定では端末IDを選択できるが、すべてDEC社の端末の名称である。

DECというのはDigital Equipment Corporationのことで、同社はかつてPDPシリーズやVAXシリーズなどのミニコンピュータを製造し一世を風靡していた。Compacの買収を経て、現在はHPの一部となっている。
また、UNIXはDEC社のPDP-7/PDP-11用に完成されたOSである。

こちらがDEC VT100の実機。
この個体は1981年9月製造らしい。

インタフェースはRS-232C、DTE。端子はD-sub 2列25pinのオス。
VNCでビデオ入出力とキーボード入力端子を備える。
キーボードは3極フォーンプラグ/ジャックで接続される。

 

Linuxマシンと接続してみた。
接続に特に問題はないが、CRT上部が間伸びしているので調整する。

 

筐体カバーを外すとこんな感じ。
内部は結構余裕がある。

 

メイン基板も眺めておく。
ボードはスロット式になっていて本体後部から引き抜ける。

特にAVOなどのオプションは載っていない。CPUはIntel D8080A-1。
NECのICも見える。

ビデオ制御基板。VRで調整を行う。
別なCRTが搭載されている場合は基板も異なる。この個体はElston製のものが載っていた。

写真に注釈を入れた通りVRを回すと調整できる。
文字の高さが揃わない場合は垂直表示サイズと歪み調整で詰める。
ついでにフォーカスも一番鮮明に映る位置に調整しておく。

CRTには高電圧がかかる部分がある。どこに高電圧がかかるのか知らない場合は触らない方が良い。

 

左右位置はセンタリングリングを回す。表示が傾いている場合は偏向ヨークを止めているボルトを緩めて調整する。
モノクロ管だし色々と楽。

 

調整後。だいたい文字サイズは揃った。フォーカスも合っていい感じ。

シェルを触るのには何ら問題はなく、TUIも正しく表示される。(環境変数 TERMにvt100をセットしておくのを忘れずに)
40年以上前の製品であるがUNIX系OSのコンソールとして制御仕様が今も引き継がれていることに歴史の重みを感じる。

 

今となっては物理ターミナルに特別何かアドバンテージがあるわけではないが、SimHなどを使用し当時の雰囲気を味わうのも悪くないかもしれない。

なお、各種ドキュメントは下記サイトのものを参照した。

・bitsavers.org

http://www.mirrorservice.org/sites/www.bitsavers.org/
(http://www.mirrorservice.org/sites/www.bitsavers.org/pdf/dec/terminal/vt100/)
(回路図もあるのでAVOボードのクローンとかも自作できるかもしれない。)

・vt100.net
https://www.vt100.net/


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